「相談」と「責任転嫁」は紙一重
「自分で考え、自分で判断しよう」という話です。相談したつもりが、知らぬ間に責任転嫁してしまうというケースを防ぐためにも、文章にまとめようと思いました。
目次
とある相談
A:「Bさん、ちょっと相談したいのですが。」 B:「お、いいよ。どれどれ。」
普段、開発現場でよく見る光景ですね。
A:「○○のこの部分、どうしたらいいかわからないんです。」 B:「あーなるほど。それは△△にするといいよ。」 A:「わかりました。ありがとうございます。」
アドバイスをもらったAさんは△△で開発を進めました。PullRequestを作成してCさんにレビューしてもらいます。
C:「ん?ここ、△△だと利用者の運用コスト上がらない?。」 A:「なるほど。修正します。(あれー、Bさんは良いって言ったんだけどなー)」
このような場面に遭遇したことはありませんか?この時、AさんはBさんに「無意識の責任転嫁」をしています。
無意識の責任転嫁の弊害
この「無意識の責任転嫁」は一見誰も悪くありません。
- Aさんは、わからないことを相談して仕事を進めようとしている
- Bさんは、アドバイスとして自分の意見を伝えている
ですが、このようなやり取りを続けるとAさんの判断力が伸びにくくなります。Aさん自身が自分で考え、自分で判断していないからです。
この問題は、相談する人(Aさん側)の意識を少し変えることで改善すると思います。
相談は「意見をもらう場」
相談は「意見をもらう場」です。「判断結果をもらう場」ではありません。相談と判断の間には必ず「思考」が入ります。これが抜けると責任転嫁になります。相談する人は「ひとつの意見をもらって自分で判断する」と意識すると良いでしょう。そうすれば、相談の会話も自ずと変わってくるはずです。
A:「Bさん、ちょっと相談したいのですが。」 B:「お、いいよ。どれどれ。」 A:「○○のこの部分、判断がつかないのでご意見いただけますか?」 B:「あー、それは△△にするといいよ。」 A:「(なんでだろ、まだ判断つかないな)それはなぜでしょうか。」 B:「メンテしやすくなるからかな。」 A:「なるほど。ありがとうございます。」
A:「(△△はメンテしやすい。それはなぜだ?ちょっと考えてみよう。あとデメリットってなんかあるかな)」
この意識を持つと、何をもってどう判断するかを自分で考えます。判断できない場合は追加で質問が浮かんでくるはずです。そして、自然と自分の意見も生まれ、それを議論に出すこともできるでしょう。より良い相談になり、より良い判断に近づいていくと思います。
「なぜそうしたか」を語れるようになろう
責任転嫁を行ってしまった場合、「なんでそうしたの?」という質問には「Bさんにアドバイスをもらったからです」としか答えられません。これはちょっと良くないですね。判断材料に人の名前だけが出てくるのはおかしいです。人の名前が出てきたとしても、あくまでフォーカスするのは意見の内容であり、内容を吟味した上で自分で判断するべきです。そうすれば「なぜそうしたか」を自信を持って語れます。
「なんでそうしたの?」という質問は、相談が責任転嫁になっていないかのチェックにも使える質問です。
まとめ
今回は「うっかりすると、相談したつもりが責任転嫁になっている」というケースについて書きました。ポイントは
- 相談は「ひとつの意見をもらって自分で判断する」というスタンス
- 「なぜそうしたか」を語れるようになろう
ということです。自分で考え、自分で判断することが大切です。特に、時間に追われていたりするとうっかりやってしまいがちですね。もし心当たりがある方は、少しだけ意識してみるといろいろと変わるかもしれません。